
(2)熱負荷が高い高出力機関の燃料として、低質油燃料油に含まれているバナジウム(V)や硫黄(S)によるピストンクラウンの高温腐食
▼燃料中にバナジウム(V)や硫黄(S)が含まれていると、機関の燃焼室まわり、排気弁の傘部やピストンクラウンの触火面にあばた状の高温腐食が発生することがあるので燃料には注意すること
▼ピストンクラウンに生じる高温腐食は、図2−2,2−3に示すように燃焼面外周部の燃料噴射が当たる位置に生じ、これが進行すると亀甲状の亀裂が発生する。

図2−2 高温腐食が生じたピストン冠(カラーチェック検査)

図2−3 高温腐食部の拡大
▼このような状況が発生したらまず燃料を分析調査し、バナジウム、ナトリウム、硫黄が含まれていないかチェックし、特にバナジウムが含まれていたら使用燃料油の交換を申し出る必要がある。また稼動負荷を下げることも大切です。
▼高温腐食が生じたピストンクラウンの顕微鏡組織を観察すると図2−4(a)のように材料が熱によって分解し、粒状の組織になっている。

図2−4 顕微鏡組織
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